クランプには様々な種類があり、最初はどれを選べばいいのか難しいかもしれません。
というわけで、今回は初心者向けにクランプの特徴や選び方について解説します。
『それでもわからん!』という人のために、最後にオススメのクランプも紹介しています。
それではさっそく参りましょう!
クランプの選び方
クランプを選ぶ基準は主に『①固定する形』『②締め付ける力』『③作業性』になります。
固定する形について
クランプを選ぶ際にまず重要なのが、固定する対象の幅(長さ)や奥行き(深さ)です。
クランプの口幅で挟むことができ、奥行きにも問題なければ『締め付ける力』や『作業性』を考慮します。
締め付ける力について
クランプの締め上げ方法は、種類ごとに特徴があります。
それによって固定する強さも異なるので、必要に応じた『締め付ける力』を持つクランプを選びます。
作業性
クランプは種類によって作業性が大きく変わります。
作業性とは、『位置調節・締め付け・解除』のスピードや、重量、取り回しなどの扱いやすさのことです。
『締め付ける力』は必要以上にいらないので、作業性とのバランスを考慮するとDIYがはかどります。
それでは、これららの事に注目しながら各クランプについてみていきましょう。
C型クランプ
まず紹介するのはC型クランプです。
C型クランプは、B型クランプ、G型クランプ、またはシャコ万力などとも呼ばれています。
C型クランプの使い方
C型クランプの使い方は、Cの間に材料を挟んでネジを締めることにより『口幅の調節』と『固定』を行います。
TIPS:C型クランプには、Cの形が深いタイプもあります。
C型クランプの用途
C型クランプはネジで幅を調節する構造上、口幅の調節が多い作業では時間の掛かるクランプです。
しかしクランプの中でも、トップクラスの強い力を掛けることが出来るため、特に強力に固定したい作業には最適です。
TIPS:C型クランプは強力に締め付けられる分、材料が割れたり変形したりしないよう注意が必要です。強い力を発揮するため堅牢な金属製が多いので、木材など柔らかいものに使用する場合は板や布を噛ませたり、強く締め付け過ぎないように注意します。
C型クランプまとめ
- 締め付ける力:非常に強い
- 口幅:普通
- 深さ:普通~深い
- 作業性:幅の調節に時間がかかる
C型クランプ
バークランプ
次に紹介するのはクイックバークランプです。
もしくはラチェットバークランプなどとも呼ばれるものです。
クイックバークランプの使い方
クイックバークランプの口幅は軽い力で動き、閉まる方向にしか動かないため口幅の調節がとても楽に行えます。
口幅の調節をしたら、最後にレバーを握ることで締め上げることが出来ます。
取り外しは、解除ボタンを押すと緩めることが出来るようになります。
TIPS:力の強い人の場合、道具の耐久性によっては破損するかもしれないので注意してください。
拡張もできる
クイックバークランプは特徴の1つに、ほとんどの製品が拡張に対応している事もあげられます。
クランプの頭を外して反対に取り付けることにより、逆の動作が可能になります。
クイックバークランプの用途
バークランプは深く挟むことは得意ではありませんが、広い幅に対応でき、様々な場面でスピーディーに対応できるのが魅力です。
クイックバークランプの特徴
- 締め付ける力:そこそこ強い
- 口幅:広い
- 深さ:浅め~普通
- 作業性:『位置調節・締め上げ・解除』ともに速い
クイックバークランプ
F型クランプ
次はF型クランプを紹介します。
もしくはL型クランプとも呼ばれるクランプです。
Fクランプの使い方
Fクランプはクランプ中以外は、口幅の可動部分が前後自由に動きます。
対象を挟んでネジを締め上げると、自然とロックがかかり*固定される仕組みになっています。
製品によって、より深い位置で押さえるタイプなどが販売されています。
TIPS:※締め上げてクランプする前は口が前後自由に動くため、不意にクランプが外れることがあるので注意します。
F型クランプの用途
F型クランプは幅が広いものに対応でき、作業性も悪くないのでクイックバークランプと使用する場面が似ています。
両者を比べると『作業性』ではクイックバークランプに軍配があがりますが、F型クランプは深さや締め付ける強さではクイックバークランプを上回ることができます。
なので、長いものを強く、あるいは深く挟みたい場合などにはFクランプが役立ちます。
F型クランプの特性
- 締め付ける力:強い
- 口幅:長い
- 深さ:普通~深い
- 作業性:そこそこ高い
F型クランプ
スプリングクランプ
次はスプリングクランプを紹介します。
スプリングクランプは固定がバネの力によるため、締め付ける力が固定という特徴があります。
TIPS:似た形状でラチェットタイプもあります。
スプリングクランプ使い方
スプリングクランプは見た目のとおりで、洗濯ばさみをより強力にしたようなものです。
洗濯バサミより強力なので多少の力は使いますが、脱着作業は握るだけで行えます。
スプリングクランプの用途
スプリングクランプは口幅が狭く、締め付け加減も調節出来ませんが、固定と解除のスピードは一番速く作業できます。
着脱の多い作業だったり、ちょっとした固定では大いに役立ちます。
スプリングクランプの特性
- 締め付ける力:固定(強くは無い)
- 口幅:狭い
- 深さ:浅い
- 作業性:とても高い
スプリングクランプ
ハタガネ
次はハタガネを紹介します。
ハタガネは昔からある日本のクランプです。
ハタガネ使い方
ハタガネの口幅調節は、ネジを緩めた状態で位置を合わせた後、ネジで固定します。
その後、締め上げ側のネジを回してクランプします。
TIPS:クランプの口が浅いため、締め付けると浮きやすいので、その場合は複数本使ってバランスをとります。
ハタガネの用途
幅の広いクランプが得意で、バークランプやFクランプと使用する場面が似ていますが、グリップする金具が浅く細い作りが多いので、よりタイトな状況に対応できます。
ハタガネの特性
- 締め付ける力:強い
- 口幅:広い
- 深さ:とても浅い
- 作業性:普通
ハタガネ
コーナークランプ
次はコーナークランプを紹介します。
コーナークランプは90度を作るための専用クランプです。
コーナークランプ使い方
コーナークランプの使い方は、2つの材料を90度になるようにセットして、ネジで締め上げて固定します。
片側の材料を突き出せば、T字型に固定することもできます。
TIPS:締め上げるネジがコーナーの内側についているタイプもあります。
コーナークランプの用途
コーナークランプの用途は限られますが、90度に固定する際には便利なクランプです。
コーナークランプの特性
- 締め付ける力:強い
- 口幅:狭い~普通
- 深さ:浅い
- 作業性:口幅の調節には少し時間がかかる
コーナークランプ
バイスクランプ
次はC型ロッキングクランプを紹介します。
C型ロッキングプライヤーやC型バイスプライヤーなど様々な呼ばれ方をしています。
C型ロッキングクランプの使い方
C型ロッキングクランプの使い方は、手元のネジで『口幅』と『締め付ける力』の両方*を調節します。
あとは握り込むとロックがかかり固定できます。
最後にロックを解除するレバーをおせば、クランプを外すことができます。
TIPS:※例えば1cmの厚みを挟む際は、締め付け幅を1cm以下にする必要があります。ただし、対象が厚み1cmあるのに締め付け幅を0.5など極端に狭くすると握り込む力が過大に必要になりロックできません。しかし、締め付け幅は狭くした方がより強力にクランプできます。
C型ロッキングクランプの用途
C型ロッキングクランプの調節は、一度握ってクランプしてみないと固定具合がわかりずらいので、少し調節に手間がかかります。
しかし、一度調節できれば着脱が手早く出来、締め付ける強さもある程度高いので、同じ厚みのもので着脱が多いような作業では役立ちます。
またCの形がちょっとした障害物を避けることもできるのであると便利な場面がでてくるかもしれません。
TIPS:エビバイスなど、より深く挟めるタイプのプライヤーもあります。
C型ロッキングクランプの特性
- 締め付ける力:強い
- 口幅:狭い~普通
- 深さ:普通~深い
- 作業性:普通
C型ロッキングクランプ
ベルトクランプ
次はベルトクランプを紹介します。
ベルトクランプは通常のクランプとは違う個性を持っています。
ベルトクランプの使い方
ベルトクランプは名前の通り、ベルトを締め上げるようにしてクランプする道具です。
コーナーパッドで四角い形を作りながらクランプしたり、不定形で縛るようにクランプできます。
ベルトクランプの用途
ベルト状で全体を押さえるクランプなので、作業に手間がかかり、部分的に強く押さえつけることもできませんが、形が自由で他のクランプにない特性あります。
例えば箱の形などを作って押さえておきたい時などに便利です。
ベルトクランプの特性
- 締め付ける力:弱い
- 口幅:円状
- 深さ:広い
- 作業性:クランプに時間がかかる
ベルトクランプ
パイプクランプ
次はパイプを利用するパイプクランプを紹介します。
パイプクランプには別途で鉄製丸パイプが必要になります。
TIPS:ここで紹介するのはパイプとパイプをクランプする製品とは別のものです。
パイプクランプの使い方
パイプクランプは、クランプのロック解除レバーを押した状態でパイプに通します。
そのままロック解除レバーを押しながら位置調節をし、最後にクランプのネジを締め上げて固定します。
TIPS:パイプクランプの使い方は、使用する製品によって多少変わるかもしれません。
拡張にも対応
パイプクランプはクイックバークランプと同様に、頭の位置を反対にすることで拡張にも対応します。
パイプクランプの用途
パイプクランプは大きくて重たくなりやすいので、小さい工作には向きませんが、口幅は用意するパイプの長さ次第でいくらでも延長できるがの魅力です。
なので普通のクランプで対応できないような幅の広いクランプをする場合に役立ちます。
パイプクランプの特徴
- 締め付ける力:強い
- 口幅:とても広い
- 深さ:浅め~普通
- 作業性:重たいがクランプ作業自体は簡単
パイプクランプ
おすすめのクランプ
次は個人的なおすすめクランプを紹介します。
といっても、これまで紹介した通りクランプには場面ごとに適したものがあります。
なので、ここでは『とりあえずオススメのクランプはどれ?』というザックリとしたイメージで紹介していきます。
クイックバークランプ
まずおすすめするクランプはクイックバークランプです。
理由は作業性が高く、締め付ける力や口幅もあるオールラウンダーだからです。
サイズ
クイックバークランプは10cm~100cm程度の様々なサイズがあります。
長すぎるバークランプは取り回しが悪いので、普段使いする場合だと15cm~20cm程度のサイズが使い易くて普段使いには個人的におすすめです。
グリップの形状
15cmくらいの短めのクイックバークランプは『グリップの部分』小さい製品が多いですが、大きい製品もあります。
一概にどちらが良いとは言えませんが、グリップは大きい物の方が深さも増して汎用性が高くなり、しっかり押さえられるようになるため個人的にはおすすめです。
本数
クランプで押さえる場合は、2点以上で押さえた方が材料が動きにくくなります。
なのでクランプは少なくとも2本は用意しておきたいところです。
クイックバークランプ
Cクランプ
Cクランプより便利なクランプが多いので多用はしませんが、やはりここぞというガッチリ固定したい時にはCクランプが役立ちます。
サイズは少し大きめの方が使いどころが増えると思います。
Cクランプ
スプリングクランプ
スプリングクランプは無くてなならないシーンは少ないですが、作業性が高いので『ちょっとだけクランプしておきたいなぁ』程度の作業では快適です。
サイズは様々あれば、より便利なのでいくつか用意しておきたいクランプです。
スプリングクランプ
終わりに
クランプは様々なものがあり、サイズも選ばないといけないので揃えようと思うと大変です。
しかし、個人的にはクランプが増えれば工作もより一層楽しくなってくると思います。
ここで紹介したものでは不足があったとしても、他にも様々なクランプが存在するので、是非ご自身でも探してみて下さい。
以上クランプの種類と使い方の紹介でした。
それではよいDIYライフを。
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