
アクアリウムは水槽台作りから始まるJIROです!
今回は初心者向けにシンプルで作りやすい水槽台を紹介します。
強度が高いので応用すれば棚やベンチ、机など様々なものが作れるようになります。
少し長い記事になりますが、この機会に是非マスターしてみて下さい。
それではさっそく参りましょう!
※お約束!DIYは自己責任です!十分に気を付けて作業していきましょう。
水槽台の設計

まずは水槽台の構造をハイタイプとロータイプに分けて簡単に紹介します。
詳しい作り方のポイントや材料の計算については後ほど解説していきます。
1.ハイタイプ水槽台の自作設計

ハイタイプの水槽台は2段仕様になります。
青色とオレンジ色の部分に使用する木材は1×4材や2×4材です。
灰色の部分(天板や棚板)は集成材・合板などを使用します。
※1×4材か2×4材かは、予算や必要な強度・箇所に応じて選んで下さい。個人的な目安ですが、1×4材は60cmレギュラーの水槽くらいまでに使用しています。
TIPS:オレンジ色の部分は天板や棚板のたわみ防止が主な目的なので、水槽台の長辺に入れるようにします。
ハイタイプの実例

ハイタイプで作った60cm水槽台の作例です。
先程の構造で強度を確保した上で、サイドにスリットなどを加えています。
TIPS:デザイン・設計は、足し算であれば基本は何をしてもOKです。
2.ロータイプ水槽台の自作設計

ロータイプの設計は、ハイタイプから下段を無くして紫の部分のような補強を追加します。
水槽台の幅がよほど狭かったり低かったりすれば、紫部分は無くても問題ありませんが、少しでも水槽台が高くなる場合は紫色部分のような補強します。
TIPS:実際、水槽台として作る場合はフィルターなどを収納するケースが多いので、ある程度の高さは出てしまうため、紫部分のような補強があった方が無難です。
ロータイプの実例

ロータイプ(ベンチタイプ)で作った水槽台の作例です。
天板を少し飛び出すような形にしていますが、基本的な構造は同じです。
より強度の高いロータイプ水槽台

もちろんロータイプで下段を付けるパターンもありです。
ロータイプでも下段を付けた方が強度は高くなります。
TIPS:この形で水槽台を高く設計すれば、紫色部分がある分、強度の高いハイタイプ水槽台にもなります。
水槽台設計のまとめ

ハイタイプもロータイプも基本は同じような構造です。
シンプルで強度がある作りなので、様々な棚や台などに応用できます。
慣れてきたらデザインを変更してみても面白いでしょう。
次は木材の種類や選び方、カットについて解説します。
木材の種類、選び方、カットについて

先程も少し触れましたが、水槽台の自作に使用する材木は主に2つで1×4材(または2×4材)と集成材(または合板)です。
『オレンジ色と青い部分』で1×4材などを使用して、『灰色の部分』で集成材などを使用します。
1×4材について

水槽台の骨格に使用する1×4材や2×4材 とはホームセンターでも販売されている、一般的な規格の木材です。
2×4材は厚みがあるので頑丈に作りたい場合におすすめです。
※1×4材…厚さ19mm×幅89mmのサイズの材木です。
※ 2×4材…厚さが2倍で38mm×幅89mmとなります。
1×4材などの購入時の注意

購入時の注意点は、1×4材などは反りがキツいものが混じっているので、できれば確認しながら購入しましょう。
ただ1×4材は多かれ少なかれ反っているので、神経質になりすぎる必要はありませんが、きつく反っているものは除外した方が製作し易くなります。
天板部分の木材

天板は『集成材』などの一枚の板になっている面材を使用します。
他にもある程度しっかりとした『コンパネ』、『合板』などでもOKです。
天板の厚みは2cm前後のものから選び、強度を高くしたければ厚みのある材料を選びます。
また事前に店舗に置いてある材料やサイズ等をチェックしておくと設計がスムーズになります。
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木材のカットについて
木材カットはホームセンターなど店舗でカットしてもらうのがオススメです。
カットはノコギリでは時間がかかり、また精度を出すのも難しいため、電動丸ノコなどの工具が必要になります。
電動丸ノコでのカット作業は『危険』が伴い、『粉塵の処理』や『導入コスト』などのハードルがあるため、まずは店舗でのカットサービスを考慮してみましょう。
※電動工具を使った比較的に安全で精度の出るカット方法はこちらで紹介しています。
↓初心者から出来る正確なカット方法↓
使用する材料のまとめ
- 骨格は1×4材などを使用、購入時はそりを確認
- 天板は集成材や合板などの面材を使用
- 材料は事前にチェック
- 木材カットは自信がなければホームセンターに任せよう
次は製作に必要になる工具について紹介します。
工具について

水槽台の組み立てに必要な工具は電動のドライバー(インパクト・ドリル)です。
他にもあれば便利な道具もありますが、基本的には電動ドライバーだけで組み立て可能です。
※保護メガネ、グローブ、マスク等は各個人の判断にて用意してください。
電動ドリルの使い方

水槽台を作る時には、電動ドライバーの使い方は『2つ』あります。
1つはドリルを装着して、木材にビスの下穴をあける為に使います。
下穴をあけるドリルはビス径より『少し細いドリル』や『テーパー状』になっているドリルを使用します。
Tips:下穴をあけなくてもビスを直接打つことはできますが、木材が割れたり傷つける可能性などがあるので、慣れない内はなるべく下穴をあけるようにします。
下穴用ドリル
ビス打ち
電動ドライバーの2つめの使い方はドライバービットを装着して、ビスを打つ(回す)ために使います。
電動ドライバーなどの工具が無いからと言って、ビス打ちを手動で行うのはやめておきましょう。
ビス打ち作業を全て手動で行うと、『 時間が何倍もかかる 』 + 『 手へのダメージ』などデメリットが大きいため、電動ドライバーだけは必ず用意するようにしましょう。
TIPS:電動ドライバーは2本あると、ドリルとドライバービットの交換の手間が無くなるので作業効率がさらにアップします。
電動ドライバー
ドライバービットセット
使用するビスについて

強度を確保する上でビスの本数は重要なので、不足のないようにしっかり計算しておきます。
製作中に気になる所があればビスを増やしたり補強を加えて対応できるよう、ビスは少し多めに用意しておくのがオススメです。
ビスの太さ
ビスの太さは3mm~3.5mmくらいでほとんどの場合問題ありません。
TIPS:2×4材の様に厚みのある木材であれば、もっと太いビスでもOKです。
ビスの長さ
ビスの長さは木材を突き抜けない程度のものを選びましょう。
短すぎるビスは接合の強度が落ちるので、なるべく深く刺さるものがオススメです。
TIPS:1×4材であれば厚みが19mmなので、2枚重ねた場合38mmの厚みになるため30mm~35mm程度の長さ程度のビスを選定します。
水槽台の組み立て方

それでは水槽台自作のポイントをハイタイプを例に紹介していきます。
作業内容を大まかに分けると3項目になります。
- 棚を作る
- 脚の取り付け
- 天板の取り付け
棚を作るポイント

まず最初に『棚の枠』を作ります。
棚を作る時のポイントは、天板を取り付ける面を水平な床や作業台に向けて作ることです。
しっかり手やクランプで押さえながら、下穴をあけてビスを打ちます。
上段用と下段用に、これと同じ棚を2つ作ります。
TIPS:水色で囲った角のビスは、後で脚を取り付ける時にビスが干渉しやすいので考慮した位置にビスを打ちます。ここではビスは間隔広めに打っておきます。
下段の棚のポイント

下段に取り付ける棚には、棚板(グレー部分)を先に取り付けておきます。(後述します)
棚板は上からビスを4本以上打って固定します。
TIPS:ビスを打つ位置は、他のビスと干渉しないよう注意しましょう。
ビスを正確に測って打ちたい場合

1×4材や2×4材でDIYする時にあると便利なのが専用の定規です。
専用サイズで下穴のマーカー用に穴もあいてるため、穴の位置をキレイに揃えたりするにも役立ちます。
ラクダ ツーバイフォー定規
脚の取り付けポイント

棚ができたら『脚の取り付け』作業を行います。
ここでも棚の製作同様、天板側を床に向けるなどして水平を確保しつつ脚を取り付けます。
脚のビスは棚のビスと干渉しないよう注意します。
脚のビスは4本以上で四角い形になるように打っていきます。
下段の棚の取り付けポイント

次は水槽台を立たせて、下段の棚を脚に取り付けます。
下段の高さ調節は、棚を横に向けてメジャーで測りながらビス止めしたり、あるいは取り付けたい高さの下駄を木片などで用意しておくと、下段取り付けが楽になります。
TIPS:木材カットの時に、端材などで下駄を作っておくと作業がはかどります。(オレンジ色部分が下駄の例です)
天板の取り付けポイント

最後に『天板の取り付け』作業をします。
天板は棚に載せて上からビスを打ちます。
ビスは天板に僅かにめり込む程度に打ちます。
これで水槽台の完成です。
※ちなみにこの想定で使用したビスは64本でした。
TIPS:天板の表に穴をあけたくなければL字の留め具などで裏から固定する方法もあります。
組み立てポイントの補足

今回の製作手順で下段の棚板(下段の灰色部分)を先に取り付けたのは、切り出しや組み立て工程などの何らかの理由で棚の枠(赤い部分)の幅が少しでも狭くなった場合に、脚を取り付けた後からでは棚板が入らないという事が起こりえるからです。
そのため、ここでは下段の棚板は先に取り付けるような手順にしています。
TIPS:後から棚板を取り付けたい場合は棚板の幅を少し小さめに設計しておくと安全です。
ロータイプ水槽台の製作手順

ロータイプ(1段仕様)を作る場合も、下段がついてないだけで基本的な注意点はハイタイプと同じです。
どちらも作業内容を簡潔にまとめると『棚の枠を作ってから足を取り付けて天板をつける』というだけです。
水槽台の組み立てまとめ
- しっかり押さえて下穴とビスを打つ。
- 水平を出したい面は、床などを利用する
- ビスは干渉しないよう心掛ける
- 下段の棚板は先につけておく、もしくは少し小さく作っておく
- 下段の高さの端材を作っておくと便利
材料の計算方法

次は水槽台で使用する材料の計算方法を紹介します。
製作する水槽台が幅60cm×奥行30cmであった場合を例に材料を計算してみます。
前から見た図と、上から見た図の2つを考えれば必要な木材の数量が見えてきます。
ハイタイプ(2段仕様)でもロータイプ(1段仕様)でも同じように考えられます。
1.前から見た図

まず前から見た図で、必要な棚板と脚の長さが分かります。
※ここでは水槽台の高さ(足の長さ)は設定していません。いくつでも構いません。
次に斜線部分で必要になる材料を確認します。
2.斜線の部分を上から見た図(上下段とも同じ)

上からの図で考えると棚の枠に必要な材木の寸法の確認が容易です。
1×4材を使用するので材木の厚みは約2cmで計算しています。
これで必要な材木の寸法と数量が確認できました。
必要な材木の寸法
天板・棚板
・60cm×30cm×1枚
・56cm×30cm×1枚
骨格(1×4材)
・56cm×4本
・52cm×2本
・26cm×4本
・足(任意の長さ)×4本
上記が今回設計した水槽台に必要な材木の寸法と数量です。
必要な材木の寸法がわかったので、次は購入する材料の枚数・本数を算出します。
算出した寸法を図に当て込む

各パーツの寸法がわかれば、使用する材料に当て込んでいきます。
図にしてみると購入する材木の量がわかりやすくなります。
すると、この水槽台であれば、120cm×30cmの集成材1枚と、1×4材(1820mm)が4~5本で作れることが分かります。
お店でカットしてもらう場合は手書きでも良いので、こういった木取り図を用意しておくと、カット時の意思疎通に大きく役立ちます。
TIPS:カットする時に木材は2mm~5mm程度削られます。カット数が多くなると削られる量が増えるので、ギリギリの寸法で計算する際に注意が必要です。
水槽台の補強やアレンジ

水槽台の補強やアレンジを行う場合は、基本的に材料を『太くする・増やす』で設計すれば失敗しません。
詳しい補強やアレンジ方法についての例はこちらでも紹介しています。
↓水槽台の補強について↓
水槽台の完成度を上げるポイント

ここからは自作水槽台のエピローグになります。
でもカッコ良くしたり、オシャレにするのはここからが重要だったりもします。
それでは個人的に水槽台の完成度があがるポイントの紹介します。
水槽台の塗装をする

塗装を行うと出来上がりの印象がグッと良くなります。
もし水槽のある部屋で塗装作業する場合は水性塗料推奨です。
塗料から揮発する溶剤も水なので生体への影響がありません。
屋外で塗装作業できる場合は基本的に好きな塗料を使って良いと思います。
TIPS:イメージする色がある場合は塗料をいきなり水槽台に塗るのではなく、端材で試し塗りして調色するとイメージに近づけやすくなります。
さわり心地をUPさせる作業

木材にペーパー(紙ヤスリなど)をあてると仕上がりと手触りが良くなります。
面倒ですが少しやるだけでも、さわり心地がアップします。
サンダーなどの電動工具があると効率よく磨くことができます。
RYOBI ミニサンダー
扉をつける

キャビネット内はゴチャゴチャしやすいので、目隠したい場合は扉を設置します。
扉を取り付ける場合は、丁番などの金具を使います。
私の場合は、簡単な目隠しに戸を立て掛けるように作ることも多いです。
※戸の設計はここで紹介しているような感じです⇒DIY!簡単自作水槽台の扉の設計方法!
水槽台に穴あけ加工

水槽台にバックパネルを付けた時にコンセントなどを引き込みたい場合は、水槽台に穴あけ加工を行います。
水槽台への『穴あけ加工』は電動ドリル、もしくはドリルチャック変換ビットなどで先端工具をホールソーに変えるだけで簡単に行えます。
オーバーフロー水槽をする場合に、水槽台の天板に穴をあけたい時も同様です。
ホールソー
ドリルチャック変換ビット
↓詳しい穴あけ加工についてはこちら↓
水槽台をはじめて自作する人へ

長い記事にもかかわらず、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
できるだけ詳しく解説したつもりですが、それでも初めてDIYする方にはわからりづらい部分もあると思います。
ある程度想像できれば、とりあえず一回作ってみるのが一番勉強になります。
棚であればこの構造で3段4段と増やせばいいだけですし、1段の構造ならベンチや机などになります。
一度覚えれば、色々なものをジャストサイズで作れるようになるのでなかなか便利です。
作業自体は難しくないので是非1度チャレンジしてみてください。
それではよいアクアライフを。
↓集成材オンリーでの棚DIYしてみました↓
コメント
こちらの制作費はいくら程度でしょうか?
制作費は水槽台の大きさにもよりますが、仮に記事内で示した60cm水槽台の場合、1×4材が5本と仮定すれば2~300円×5で1000円~1500円+天板・棚板1000円~2000円、+ビス500円+カット代500円程度と見積もって、材料費は3000~4500円くらいになると思います。(塗装をする場合は+α)
使用する木材やお住まいの地域によっても、材料費は変動するので、ご参考までにしてもらえればと思います。
はじめまして。
いつもブログ、YouTubeを拝見させて頂いております。
木製での台のレクチャーの話なのに、
こんなことを伺うのは大変申し訳ないのですが、
他ページで紹介されているイレクターでの水槽台などは、
安定感などの問題から、やめた方が良いでしょうか?
もし見解をお伺いできれば幸いです。
ありがとうございます!
私自身がイレクターで水槽台を作っていないので、
あまり根拠のない見解になりますが
イレクターは公式から強度が示されているので、ある程度簡単に強度が見積もれるのと
組み方次第で強度をいくらでもあげられるので
イレクターを水槽台の骨格部分に使用するのは問題ないと思います。
またイレクターで水槽台を作る場合のジョイントはメタルジョイントの方が強度が高くて、組み直しやミリ単位の誤差であれば吸収できるので良いかと思います。
ただイレクターのメタルジョイントは高価なので、たくさん使う設計になると辛いかもしれません。
既に見ておられるかもしれませんが、イレクターの棚と梁の強度についてのリンクを貼っておきます。⇒イレクターの棚と梁の強度について