
ナマズの稚魚はかわいさにつられて飼育すると『あっ』と言う間に大きくなってしまいます。
『大きくなるのは困るけど、日本産のナマズが飼いたい! 』 という人にピッタリな魚がアカザです!
それでは日本産の小型ナマズの飼育方法などご紹介いたします。
目次
アカザとは

ナマズ目アカザ科で日本では唯一のアカザ科。
日本固有種。
※なお今後、アカザは少なくとも2種類に分かれる可能性が高い。現在は体に細かい明色の斑紋をもつ系統(クレード1)と、無斑の系統(クレード2)とされている。(参照元アクアライフ2018年12月号)
河川の中流から上流域までに生息。
赤褐色の小さなナマズで、4対の口ヒゲと鋭い胸ビレを持ち、背ビレ胸ビレに毒腺をもつ。刺さると痛む。
分布

本州、四国、九州に分布。
岩手県の個体は国内外来種とされる。
※日本の淡水魚(山と溪谷社 藤田朝彦)参照。離島にも分布があるように見えますが使用したソフトの仕様で分布を示すものではありません。
生態
夜行性で昼間は石の隙間などに隠れている。
繁殖期は5月から6月で石の下に産卵し、孵化するまでオスが卵を守る。
全長
10cm~15cm程度。
食性
肉食。夜間に水棲昆虫などを食べている。
雌雄
繁殖期になるとオスは顔の筋肉が盛り上がりでこぼこになる。
アカザの入手方法
ペットショップなどで入手可能です。
店頭でもそこそこ見かける魚ですが、ドジョウのように常に在庫があるとは限らない魚です。
インターネットであれば、だいたい常時入手することができます。
ガサガサで採取する

アカザは日本の淡水魚ならではの採取が楽しめます。
アカザはタモ網で草むらをガサガサするより石をひっくり返すほうがよく採れます。
どこにでもいる魚ではないので、探すのは大変ですが、繁殖している川ではそこそこ採れる魚なので、チャレンジしてみるのも楽しいと思います。
ガサガサする方法⇒初心者のためのガサガサ!日本の淡水魚を採取する方法やコツ!
アカザを飼育する環境
水槽の大きさ
成魚でも10cmほどの魚なので30cm程度の水槽でも飼育可能です。
Sサイズ水槽
レイアウト

アカザは夜行性で暗い場所を好むので、アカザのレイアウトは隠れる場所のあるレイアウトにします。
野生では石の下などにいるので、流木や石の下に潜れる隙間などを用意すると、大体寝床にしてくれます。
アカザだけの飼育水槽だと…

アカザは明るい時は暗い場所でじっとして動きません。
なので隠れ家を用意してアカザだけ飼育すると、普段なにもいない水槽になってしまい、ちょっと寂しい水槽になります。(エサをあげれば飛び出してきますが)
水質
中流から上流のきれいな川に住んでいるので水質はある程度気にする必要があります。
一般的な日淡魚同様、濾過器を用意してエアレーションと水替えをしっかりして水質を保ちます。
底面フィルター
水温
アカザの水温は一般的に~25℃程度とされています。
冬はあまり心配いりませんが、夏場は水温を低く保つように室内のクーラーや冷却用のファンを使用するなど対策が必要です。
我が家の温度事情
我が家では夏場に冷却のためファンを使用しています。
それでも夏場の一番暑い時期だと、日中は水温が28℃くらいになります。
自分が部屋にいる時はクーラーをつけているので、夜間の水温は25℃くらいまで下がります。
なので夏場の1日の水温のサイクルは25℃から28℃くらいとなっています。
私が飼育したアカザたちは、大体この環境についてこれています。
ただし、アカザは地域的変異の差も大きいので水温については様子を見ながら調節してみて下さい。
冷却ファン
小規模な飼育参考例

我が家のアカザを飼育している環境で、もっとも小規模な設備を参考にご紹介します。
Sサイズ水槽(10L程度)に底面フィルター(エアポンプ)で、ポトスを水上で育成しています。
週1回5L程度の水替えで、水温はファンを回して夏場で25℃~28℃くらいです。
このくらいの軽い飼育環境でも幼魚から成魚まで無事飼育できました。(オヤニラミ中サイズとウキゴリ大サイズ、シマドジョウも混泳しつつ)
その後も同じ環境で幼魚からアカザを育てていますが、問題なく飼育できています。
耐えられる水温でエアレーションと水替えをきちんとしていれば、安定して飼育できる印象です。
エサ・餌付け

エサは赤虫であれば容易です。
鼻がいいので、ばら撒いたらすごい勢いで群がります。
人工餌の場合は小粒のキャットなどを餌付けることができます。
赤虫ほどすぐには餌付かない場合も多いので、少しずつ馴らしていきます。
我が家の人工餌
アカザの混泳

アカザは混泳しやすい魚です。
同種でも他種でも複数飼育が可能です。
同種で混泳させる場合は、数に応じた隠れ家を用意します。
個人的には、肉食魚の中ではかなり混泳しやすい魚です。
我が家の混泳してきた魚
- オヤニラミ(大)~(中)
- ウキゴリ(大)
- ヨシノボリ
- シマドジョウ、スジシマドジョウ、ドジョウ
- モツゴ(幼魚)など
ナマズですが、マナマズのような大食漢ではないので、アカザに対してよほど小さい魚でなければ食べられる心配はありません。
私はオヤニラミとの混泳をしていますが、優秀な掃除屋として働いてくれます。
※混泳に絶対はありません。個体や環境によっても変わります。混泳とDIYは自己責任でお願いします。
アカザの飼育まとめ

- 小さい水槽でも飼育可能
- ろ過器をつけてエアレーションと水替えをする
- 夏場の水温対策は必要
- 赤虫であれば餌付けは容易
- 混泳可能、複数飼育可能
環境さえ整っていれば、丈夫で飼いやすい魚です。
ナマズですが、混泳もし易い部類なのもグッド。
ただし、アカザは地域的変異の差も大きいので様子を見ながら飼育してもらえればと思います。
それではよいアクアライフを。
参考文献
アクアライフ2018年12月号(エムピージェー)
アクアライフの飼育コーナー『川魚事はじめ』でアカザの飼育が見開きで紹介されています。
メイン企画がアクアリストのお宅訪問なので、とても楽しい1冊となっています。
日本の淡水魚(山と溪谷社)
日本の淡水魚がほとんど見開きで紹介されて素晴らしい図鑑です。
この増補改訂版が絶対におすすめです。