アクアリウム好きのJIROです!
先日、昔から憧れだった屋久島に行くことが出来ました。
屋久島の森と言えば美しい苔に覆われている風景が印象的で、白神山地とともに日本で初めて『世界自然遺産』にも選ばれた日本の誇る秘境の1つです。
今回はそんな屋久島の中から『苔むす森』でも有名な白谷雲水峡に行ってきたので紹介していこうと思います。
それではさっそく参りましょう!
白谷雲水峡の苔むす森とは
まず白谷雲水峡とは屋久島の森を一番気軽に楽しむことの出来る登山ルートの1つとなっています。
『簡単にいけるコース』なんて言われると大した事なさそうですが、まったくそんなことは無く屋久島の美しい森を存分に味わうことが出来ます。
しかも見所の多い屋久島でも特に美しい絶景ポイントとして有名な『苔むす森』も見ることができるので、正に初心者にとっては『最高のコース』だと思います。
もちろん苔むす森だけでなく全てが屋久島らしい風景なので辿り着くまでひたすら楽しめます。
白谷雲水峡の入口
で、白谷雲水峡のコースではまず『入口』で驚かされました。
普通の場所ならこれだけでも観光名所になりそうな迫力のある素晴らしい沢が登山者を出迎えます。
『大きな岩の塊』と『流れ落ちる大量の水』が屋久島の豊かな自然を早々に感じさせ、最初からテンションが上がりまくります。
花崗岩の島
そして白谷雲水峡コースを歩き出しすと、すぐに印象的な岩肌を登っていくことになりました。
ここも本当に誇張無く普通の場所ならメインの名所になりそうなくらい『インパクトのある大きな岩山』です。
登山口の沢もそうですが、屋久島は大きな花崗岩の島なので普通の場所ではなかなかお目にかかれないような『巨岩』や『島の地肌』が至る所で見ることが出来ます。
白谷雲水峡の滝
巨岩を超えた先にはこれまた素晴らしい滝があらわれました。
この滝はまるで洗練された庭園のような印象すら抱かせる美しさです。
ここも特に名所としては語られていないようでほとんどの人は通り過ぎるだけの場所でしたが、この風景の為だけに来ても良いと思えるようなポイントでした。
屋久島と言えば『苔』と『杉』のイメージですが、このように巨岩の織りなす風景もまた魅力の1つに間違いありません。
屋久島の杉の世代交代
で、もちろん屋久島と言えばの巨大な杉も素晴らしく、至る所で見ることが出来ます。
大きな屋久杉には『名前』が付けられたりしますが、こちらは凄まじい貫禄にも関わらず無名の杉です。
それもそのはず屋久島ではこのクラスの木であればゴロゴロあります。
少し余談になりますが、この杉の形は『根本が太く』『上部が細く』なっていて、少し不思議な形をしてます。
実はこの形には訳があり、『切り株更新』と呼ばれる世代交代を経た杉の形となっています。
切り株更新
切り株更新とは伐採された切り株に新たな杉が着生して、やがて切り株を覆うように成長することを指しています。
屋久島の杉は今では伐採できなくなりました*が、古くは秀吉の時代から伐採されていたので多くの切り株が残っています。
そうした切り株から新たな杉が育つことにより、先程のような根元が太い不思議な形の杉が生まれていきます。
※現在流通するのは自然倒木されたものや土埋木(どまぼく)と呼ばれる昔に切られてそのまま放置されたものだけとなります。ただその土埋木も搬出可能なものは全て取り出されたので今後希少価値はさらに高まっていくと思われます。
倒木更新
さらに切り株更新を人為的とするならば、倒木更新という自然的とも言える世代交代もあります。
倒木更新では強風や雷などで折れた倒木に杉が着生して育っていくことを指しています。
着生する場所の違いだけにも思えますが、その後の成長にも少し違いが現れます。
倒木更新のその後
倒木更新した杉の場合は永い年月を経て元々着生していた倒木が風化して無くなると、こんな二股の杉になることがあります。
こちらは白谷雲水峡にある、人が通れるほど大きな倒木更新された杉で『くぐり杉』と呼ばれている巨大な屋久杉です。
その過程を知ることで、屋久杉の過ごす途方もない時の流れを感じさせられます。
屋久杉とは
ちなみに屋久島の杉と言えば屋久杉というイメージがあるかもしれませんが、これは屋久杉という固有種があるわけではありません。
屋久島では樹齢1000年以上の杉を『屋久杉』と呼び、1000年未満は小杉と呼ばれています。
では『小杉は普通の杉と同じなのか?』というと、そんなことはありません。
花崗岩で出来た屋久島では『栄養が乏しい』ため『成長も遅く』なりますが、その分年輪がずっと密になり頑丈になります。
そのため普通の杉よりも『木材としても強く』なり、また『大きく成長する』ことができるようになります。
また屋久島で育つ杉は匂いも普通の杉とは『別格の香り』がするため、小杉でも十分魅力的な木材となっています。
※ただし屋久島の杉はもう伐採できないため基本的にはお土産物やなどで手に入れるくらいしかありません。
天然のミスティングシステム
そして巨大な杉とともに屋久島の自然を象徴するコケも見事なまでに森の中を覆い尽くしています。
直立する木の全体をこれだけ『びっしりとコケで覆い尽くせる』のは屋久島が『月に35日雨が降る』と呼ばれるほどの天然のミスティングシステムあっての光景と言えるでしょう。
実際に今回も数時間の登山の間に何回も雨が降っては止んでいました。
屋久島は水の森
そして屋久島の豊富な水はコケだけでなく、穏やかで澄み切った沢をそこかしこに作り出しています。
これがまた最高で白谷雲水峡ではなんら特別な風景ではないのですが、『苔と共に森の奥深くまで続く水の道』には心をズンズン躍らされてしまいます。
個人的にはこの清らかな沢の雰囲気が好みすぎます。
まぁでも実はこの左のカベみたいなのはトイレなんですけどね。
苔むす森にすすむ
白谷雲水峡で唯一のトイレで用を済ませ、さらに苔むす森を目指して歩き続けます。
屋久島の森は気候的には亜熱帯に近く鬱蒼としてはいるのですが、熱帯雨林の森には無い侘び寂びに近いような『涼』をどこかしら感じさせて気持ちがいいです。
緑と影の『コントラスト』、大きな岩に絡まる木の根やコケ。
どこを切り取っても最高のパルダリウムになりそうな景色ばかりでウットリしっぱなしです。
ヤクシマタゴガエル
あと屋久島の自然は植物だけでなく『ヤクザル』や『ヤクシカ』などに代表されるような固有の動物も多く存在しています。
ここ白谷雲水峡では『ヤクシマタゴガエル』かもしれないアカガエルに遭遇することが出来ました。
個人的にはヤクザルやヤクシカより嬉しい出会いだったりします。
光差し込む白谷雲水峡
白谷雲水峡は名前からも感じられるとおり、森の中では『霧』や『湿った空気』を漂わせてることが多いのですが、時折『明るい光』が差し込み森が輝きだします。
これもまたすごくいい瞬間で、つい足を止めてしまいます。
給水ポイント
ついでに白谷雲水峡の豆知識も紹介しておくとガイドさんに教えてもらったのですが、白谷雲水峡ではこういった塩ビ管から湧き水が出ている場所は『飲み水』として使えるポイントとなっています。
荷物を減らすためにはこういった水場を活用すれば『ペットボトル1本』あれば余裕で乗り切れます。
ただ、おいしいからといって飲み過ぎるとトイレ危機が訪れるので要注意です。
※私はトイレ危機に陥りました
沢を渡る
苔むす森まであともう少しといったところの沢を渡ろうとした時、ふと目をやればこれまた『素晴らしい景色』がありました。
ここも気を許せば一瞬で通り過ぎる場所ですが、たまらない風景です。
屋久島の自然を凝縮したような沢っぷりに見惚れてしまいます。
苔むす森に到着
そして小雨が降った後、またちょうど光が差し込み森が明るくなった最高のタイミングで苔むす森に到着しました。
もちろんここまでの道のりも十分に苔むす森だったわけですが、ここは空間的にも広くて『さらなるコケの絶景ポイント』となっています。
時間を忘れていくらでも眺めていたい風景です。
ちなみに一時期『もののけ姫の森 』と称されていましたが、今は大人の事情で『苔むす森』と改名されたそうです。
下山
そして帰りは『雨』と『霧』で白谷雲水峡がより一層幽玄な雰囲気を帯びてきました。
霧の中で見る屋久杉は味わい深さがさらに増す気がします。
雨が降っても、光が差しても美しい白谷雲水峡は最高すぎます。
しかしこの後、さらなる『土砂降りの雨』に見舞われ、万が一増水すると沢を渡れなくなる危険性があるとのことでガイドさんの指示で一気に山を下りることに。
その間も止まりたくなる風景が山ほどありましたが、さすがに『止まるわけにはいかない』ので後ろ髪を散らしながら下山しました。
白谷雲水峡は最後に屋久島の美しさだけで無く『自然の怖さ』も見せてくれました。
そんなこんなで控えめにいって大満足の散策になりました。
帰り道
下山後、先ほどまでの大雨が嘘のように晴れ渡り、町へ帰る道では虹が掛かっていました。
白谷雲水峡の苔むす森までの道のりは『片道60~90分程度』でゆっくり回っても往復4時間程度なので、普段登山をしない人でも気軽に行ける最高のトレッキングコースだと思います。
行ったばかりですが、絶対にまたいつか行きたい…!と、既に思っています。
ちなみに白谷雲水峡は超人気のトレッキングコースなので、登山口までをレンタカーで行った場合は到着時間が遅くなると駐車スペースに止められず『路駐*』になることがあります。
※路駐の列が長くなるとスタート位置からかなり離れた場所から歩きだすことになる事もあるそうです。ガイドさん曰く、1km近くなる事もあるそうです。
バスを使うと安くて『登山口の近く』でほぼ確実に降りられますが、混み合うと帰りは『バスの待ち時間』なども発生するので、予定を組む場合は注意が必要です。
また宿までの送迎付きのガイドツアーだと、ガイドさんの車で『宿to登山口』になるので多分一番楽になります。
というわけで、屋久島だけに『まんてん 』 の白谷雲水峡レビューでした。
それでは!
※この記事は2018年の屋久島旅行記事に加筆修正を加えたものです。
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