JIROです!
オーバーフロー水槽のサンプ(濾過槽)内の仕切りは位置や仕様によって効果に違いがあります。
初めてサンプを作る人にとっては仕切りの設計については迷いどころかもしれません。
というわけで、今回は初心者向けにサンプ(濾過槽)の仕切り設計について紹介します。
仕切りの設計
まずサンプ1枚目の仕切りは、水槽の高さより少し下げておきましょう。
ろ材が目詰まりしてくると、後から思った以上に水位が上昇することがあります。
なので、基本は目詰まりしたときに隣の部屋に水が逃げるように設計していきます。
水位の上昇に気づければ清掃すれば良いだけですが、漏れてから気づくと大変なことになります。
※スポンジろ材をしっかり詰めたり、細かい濾材を使ってる場合は特に水位が上がりやすい。
2枚目の仕切り
2枚目に仕切りを付ける場合は、1枚目の仕切りよりある程度の差をつけて下げておきます。
左の図のように仕切りの高さに差が少ないと、目詰まりなどで水位が少し上昇しただけで、隣の部屋にオーバーフローしてしまいます。
そうすると、すべての濾材をパスしてしまうので、急激に濾過能力が低下します。
右の図のように2枚目の仕切りをある程度の差をつけて下げておけば、多少水位があがっても大丈夫です。
TIPS:サンプ内に水を1枚目の仕切りのギリギリまで満タンに入れた状態だと、仕切りを下げた効果は失われます。
三枚目の仕切りをつける場合
3枚目の仕切りをつける場合は1枚目と同じ高さで大丈夫です。
3枚目を低く設計してしまうと、水位次第で濾過槽をスルーしてしまいます。
まとめ
ろ材をたくさん詰めたくて仕切りの高さをギリギリにしたくなりますが、仕切りは余裕をもって設計したほうが長期的にみてトラブルを回避できます。
TIPS:サンプのサイズ、流量にもよりますが、個人的に仕切りは最低3~4cmくらいの余裕をもっています。
最後の仕切りの位置
次はサンプ内の最後の仕切りの仕様についてです。
サンプ内の最後の仕切りが『水が上から流れてくる』か、『水が下から流れてくる』で少し効果が変わります。
細かい事ですがポイントがあるのでそれぞれ紹介します。
水位が下がるエリアの違い
オーバーフロー水槽の場合、蒸発による水位低下の影響を受けるのはサンプの最終エリアです。
赤で囲ったエリアが水位が低下するエリアで、仕切りの仕様によって変わっているのがわかります。
ポンプ室の大きさが一緒でも、右の図のように最後の仕切りは『下から水が流れてくる構造』の方が水位の下がるエリアが広く、蒸発に強いサンプと言えます。
TIPS:ただし右の図の場合、最後の仕切りに隣接する濾材は水位が下がると共に露出していきます。
わかりやすい極端な例
先ほどの話をわかりやすく極端な例で示してみました。
例えば5リットルの水が蒸発した際に、左図の『蒸発に強い』とした方は、サンプ全体で水位の低下を受け止めるので、水位の低下はかなり緩やかになります。
一方、右図の『蒸発に弱い』としたサンプは、小さいエリアなので5リットル分減ると、急激に水位が低下します。
特に夏場に冷却ファンなどを回せばかなりの水が蒸発するので、右のようなサンプはすぐにポンプが露出してしまいます。
ポンプ室の水がなくなると大変
ポンプ室の水がなくなると、水がオーバーフローしなくなり循環しなくなるので当然濾過が止まってしまいます。
水位の変動を受ける最終エリアの容量を狭くしすぎると、1週間の旅行や出張などの計画は立てられなくなります。
サンプは一度作ると変更が難しいので、水位の下がる最終エリアの容量に余裕を持って設計するのがおすすめです。
TIPS:サンプ目一杯いれれば、多少最終エリアの水位の低下を遅らせることができます。
止水する
先ほどの『蒸発に強い』としたサンプの構造は、最終層の上部が止水しやすいデメリットもあります。
止水すると油膜が発生しやすく、最終エリアは水位の上下もあるので濃い水垢がすぐにつきます。
エアレーションなどで撹拌して油膜を解消しても、エアレーション自体が周りを汚しやすいので綺麗に保ちにくくなります。
その点、最後の仕切りが上から水が流れてくるタイプだと、止水域が出にくいので油膜などによる汚れ方が抑えられます。
水圧
水位の下がるエリアの仕切りは、水位の低下とともに水圧の影響をモロに受けます。
水量しだいでは、仕切りがたわむ可能性があるので設計時に留意しておきましょう。
TIPS:対策としては仕切りの厚みをあげるなどがあります。
まとめ
最後の仕切りは水が下から流れてくるタイプだと蒸発に強くなりやすく、上からだとサンプが汚れにくくなる傾向があります。
どちらも一長一短なので、仕様による違いをわかった上で好みで設計することになります。
私の場合
参考に製作したサンプを幾つか紹介します。
ちなみに最後の仕切りについては私は上から水が流れてくるように作ることが多いです。
CASE 1
まず濾過槽を広めに1室だけにしたサンプです。
この場合、①の仕切りをなくせばもっと濾材を詰めれるようにも設計できたのですが、あえて仕切りをつけました。
また③の仕切りをバランスよくして、②にも濾材を詰めたほうが濾過には良さそうですが、それもしませんでした。
設計の理由と目的
この仕切り①をつけた理由はサンプ内の『止水域を減らす』事と『澱を留まらせる』事が目的でした。
この作りの場合、仕切り①が無いと濾過槽で発生する澱が直接ポンプ室に流れてきます。
私の場合、水を足すときはポンプ室から水を注いでるので、仕切りがなければ濾過槽からの澱が舞い上がってメイン水槽のに排出されてしまいます。
そして②に濾材を詰めなかったのは発生する澱を吸い出し易くする為です。(メンテンナンス性の向上)
ここではそういった考えてで仕切りの位置を設計しています。
Tips:ちなみに②のエリアは水位が固定されるので加温する場合はヒーター等を入れるエリアにも最適です。
濾過槽を広くした場合のポイント
このサンプのように濾過槽を広くとった場合、そのままだと稼働率の低いろ材が発生するので、エアレーションなどで撹拌して水流を作ります。
ろ材の下からエアレーションを行う場合は、細かい濾材だと空気がダマになって上手く流れができないため、バイオボールなどの通気性の良い濾材がおすすめです。
カミハタバイオボール
CASE2
こちらは流動ろ過を設計してみたサンプです。
このサンプの仕切り設計で重視したポイントは流動ろ材がうまく流動する水位で固定する事です。
落水式(仮)流動ろ過を作るときの注意点⇒改訂!オーバーフロー水槽で流動ろ過を作る場合の注意点
流動ろ材
私の場合まとめ
オーバーフロー水槽をする理由は人それぞれたくさんあると思います。
私の場合、オーバーフロー水槽は濾材がたくさん詰められるから使っているというより、水槽の水位の固定であったり、拡張性やメンテナンス性から選んでいるので、ろ材の量より機能性、メンテナンス性を重視してサンプを作ることが多いです。
なので、いつも濾材に使わないスペースが多いですが、強力なろ過を重視するなら、もっとろ材を確保できる設計を考えるでしょう。
自分の求めるものによって、設計を色々考えられるのが自作の楽しみだと思います。
終わりに
サンプは製作後に変更が効かないので、基本的に余裕を持った設計がおすすめです。
とは言え、私もついつい欲張って未だに失敗を繰り返しています。
でも趣味なので自分好みで作るのが一番なので失敗したっていいと思っています。
ただ大惨事にならないよう気を付けて設計・作業する必要はあると思います。
この記事が少しでもオーバーフロー水槽の自作の参考になれば幸いです。
それではよいアクアライフを。
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