今回は初心者向けにオーバーフロー水槽の仕組みや特徴について紹介していきます。
初めて見るとオーバーフロー水槽は難しいそうに見えますが、実はとてもシンプルかつ、様々なアクアリウムで強力な助っ人となるシステムです。
それではさっそく参りましょう!
オーバーフロー水槽とは?
オーバーフロー水槽とは簡単に言えば、水槽の排水管からあふれた水を、下に用意した水槽で濾過してから、ポンプで水を飼育水槽に戻す仕組みの事です。
オーバーフロー水槽には様々な形がありますが、基本的な構造はどれも同じです。
オーバーフロー水槽の特徴
オーバーフロー水槽の大きな特徴は、排水管を付けるために水槽に穴があいていることです。
ほとんどの場合は水槽の底に穴があるため、水槽台にも同じ位置に穴が必要になります。
また他のシステムでみられない特徴としては、飼育水槽の水位が一定になるという事もあげられます。
オーバーフロー水槽のデメリット
価格・費用が高い
オーバーフロー水槽のデメリットには、まず水槽一式にかかる費用が高くなることがあげられます。
サイズにもよりますが、市販品だと60cm水槽の基本的なセットを揃えるだけでも5万円~10万円+α(ろ材、ライトなど)がかかります。
設置作業が大変
設置作業に手間と時間が掛かります。
また多少のDIYが必要になる場合もあります。
仕様変更ができない
水槽に穴があいているため、仕様変更などで融通が利かない部分があります。
オーバーフロー水槽のメリット
飼育環境の向上
オーバーフロー水槽のメリットは、水量や濾材を大幅に増やすことが出来るため、飼育環境の向上が見込めることです。
収納性が高い
オーバーフロー水槽の大きな濾過スペースは器具を収納するにも便利です。
ヒーター・水温計・エアレーション・プロテインスキマーなど、様々な器具を濾過水槽に収めることで飼育水槽内がスッキリしたり、事故などの要因を減らすことができます。
複数の水槽を一括管理
オーバーフロー水槽では、複数の水槽をまとめて管理することもできます。
複数の水槽を1つの濾過槽で処理することにより、水換えや水温の管理・メンテナンスを一括して行えるようになります。
オーバーフロー水槽の総評
オーバーフロー水槽は金銭面や仕様変更などにおいては難があるものの、飼育環境やメンテナンス性での恩恵が大きいシステムとなっています。
そのため水族館やアクアショップなどの施設や、大型魚や海水魚・サンゴ水槽など、より多くの条件を求められる水槽でよく使われています。
オーバーフロー水槽の詳細・名称
次はオーバーフロー水槽をさらに詳しく知るために、代表的な機能や使用上の注意点についてみていきましょう。
飼育水槽
まずオーバーフロー水槽の穴には台座と呼ばれるパーツを取り付ける必要があります。
台座
台座とは水槽の穴に取り付けることによって、フロー管を設置できるようにするためのパーツです。
台座の取り付けは、シリコン接着やネジタイプの製品があります。
TIPS:セットのものは最初から台座がついてることがほとんどです。
フロー管
フロー管とは台座に取り付ける排水用のパイプです。
アクリルパイプや塩ビ管が使用できます。
フロー管の高さが基本的な水槽の水位になります。
TIPS:ポンプを稼働させると、実際の水位はフロー管より少し高くなります。(+1cm~)
コーナーカバー
フロー管はむき出しだと、小さな生き物などが落下し易いので、コーナーカバーなどで落下防止するのが一般的です。
TIPS:コーナーカバーには後から吸盤で取り付けられるタイプや、水槽に取り付け加工がされている製品、シリコンで接着する場合などがあります。
アウターパイプ
落下防止にはコーナーカバーの他にも、アウターパイプを設置する方法があります。
アウターパイプとは、フロー管より太いパイプにスリットなどを入れたパイプです。
フロー管の上から被せることで、アウターパイプはストレーナーの役目を果たします。
アウターパイプを使用する場合の注意点
アウターパイプを付けたい場合は、『三重管用の台座』などと呼ばれる、アウターパイプが取り付けられる専用の台座が必要になります。
TIPS:三重管とは、給水管・フロー管・アウターパイプの3つの管を1つにまとめる仕様のことです。
三重管キット
ピストル
オーバーフロー水槽では、給水管をスマートに設置するためにピストルという継手を使うことがあります。
ピストルを使うと図のように排水管(フロー管)を通して給水管を設置できるようになります。
三重管仕様にする場合も、このピストルを使って給水管にフロー管を通してく事が多いです。
TIPS:ピストルにはストレートタイプやエルボタイプなどがあります。(図はストレートタイプ)
ピストル
濾過槽・サンプ
オーバーフロー水槽の下部に用意する水槽は、『濾過槽』や『サンプ』などと呼ばれています。
フィルターに相当する部分ですが、メリットでも解説した通り、収納力が高いのでフィルター以上の役割を課すこともできます。
またサンプ(濾過槽)にはウールボックスを付けることが一般的です。
ウールボックス
ウールボックスとはウールマットを敷いて使うプレフィルターです。
ウールボックスの役割は、ウールマットを定期的に交換し、大きなゴミを早期に取り除くことや、糞や食べかすなど大きなゴミを濾過槽内に持ち込まないことが主な目的です。
TIPS:ウールボックスと濾過槽が一体型の製品もあります。
サンプ
オーバーフロー水槽の詳細まとめ
以上が主なオーバーフロー水槽に必要なパーツ・名称・注意点などについての解説でした。
今回紹介した内容を知っていると、一見すると複雑そうなショップのオーバーフロー水槽も基本の作りは同じであることがわかります。
おわりに
オーバーフロー水槽は大型魚や海水水槽だけでなく、様々なスタイルの水槽で利用価値が高い水槽です。
費用と手間の面でハードルが高いですが、自作などを交えるとコストも抑えることができるので、興味がある方は是非一度オーバーフロー水槽も選択肢に入れてみてください。
それではよいアクアライフを。
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